ゆらりとした昼下がり。
阪急宝塚線小林駅前のひなびた商店街を歩く。 10分ほど歩いただろうか。 ママチャリが行き交う住宅地に百合珈琲はあった。 ![]() 元は自家焙煎のコーヒー豆を売る店だったが、2年ほど前にカフェスペースをオープンした。 中に入ると狭い店内の奥には、噂に聞いていた古いROYAL製の焙煎器が見えた。 “ゴォー、ガァー”と大きな音を立てて豆が煎られていた。 ![]() 店内はいたってシンプルな造り。近所のコーヒー好きがそれぞれにコーヒーを楽しんでいた。 「いい店でしょ・・」 突然、向かいのテーブルの女性客に声をかけられた。 「ここのコーヒーを飲んだら、他のコーヒーは飲めませんよ。」 どう見ても学生風なのに、こちらが引くほどのコーヒー好きに驚いた。 自転車でやってきたから、近所に住んでいるらしい。 恐るべし、百合珈琲。 ![]() コーヒーはしっかり2杯分楽しめる。 熱々の2杯目は、小さなポットで出てきた。 「すみれ」とネーミングされたブレンドは、浅煎りの薫り高い一杯。香ばしい匂いが、口腔に広がる。 ブレンドは「すみれ」の他、「はな」など、宝塚にゆかりのある名前がつけられている。 ![]() 店の奥に、この店を仕切っている女性の姿が見えた。 老舗のコーヒー店と聞いて職人気質のオヤジさんをイメージしていたので、ちょっと意外な気がした。そうえいば、赤い実コーヒーのオーナーが「百合珈琲の女性は凄腕ですよ。」と話してくれたのを思い出した。 百合珈琲のコーヒーは深く苦いコーヒーではない。 砂糖を入れて、舌の先で甘みを感じながら、のどの奥で香り楽しむような味わいだと思う。 ![]() こういうジモティなコーヒーショップに出会うと、とても心が豊かになる。 街があって、美味しいコーヒーがあって、そこに語らう人がいれば、カフェ好きの蘊蓄なんてどうでもいい。 ●百合珈琲 兵庫県宝塚市高司1-8-11 TEL0797-72-0656 open:月−金 11:00~19:30 (土〜18:00) close:日・祝 ![]() ![]() コーヒーが160円。ホットケーキが80円。 この日、僕が「マル屋」で払ったのは合計240円だった。 西天下茶屋にある銀座商店街のコーヒーショップ”マル屋”は創業78年の老舗の喫茶店である。 老舗といっても、何も変えず、何も変わらずに78年間そのまま続いていると言う方が正しいのかもしれない。 少々耳の遠いオヤジさんに「古いお店ですね。」と言ったら「私は2代目です。」と微妙にずれた返事が返ってきた。 ![]() 長い間煙草の煙で燻され壁のクロスは見事にセピア色に染まり、“色めがね”をかけてコーヒーを飲んでいるような気分になる。 真っ黒なコーヒーは香りが無く、不思議な味がした。 ホットケーキには小さなクリームの渦が2つ。てっぺんに缶詰のみかんが添えられていた。フォークとナイフは丁寧に紙ナプキンで巻かれてでてきた。 ![]() この店を見つけたのは2年前の夏の終わりだった思う。 南海汐見橋線から見た夕焼けがやたらキレイな一日だった。 ![]() ●コーヒーショップ マル屋 大阪市西成区千本北2-1-33 TEL 06-6661-9166 open:8:00—19:00 close:年中無休 ![]() 子供の頃にカッコいいと思っていた物に大人になってから出会うと“大恋愛”に発展することがある。とても高価で絶対自分のものにならないと思っていても、大人になってから偶然目の前にそれが現れると何十年の熱い思いが一気に込み上げてきて、いてもたってもいられなくなってしまう。
![]() 僕が出会ってしまったのは、ハリバートン社のアタッシュケース。高校生の時に読んでいた「sports illustrated」の広告ページに掲載されていた。当時の価格で15万円。 まばゆいばかりのアルミ合金のボディに目がくらくらした記憶がある。当時そんなアタッシュケースを自分が買うことになろうとは思いもしなかった。 いま僕の手元には、6台のハリバートンのアタッシュケースがある。円高の影響やセレクトショップ経由などの商品もあり随分と手に入りやすくなった。 仕事で使っているのと、コレクション用とやたら増えてしまったが、まだまだ欲しいものがなくならない。 写真のアタッシュケースは、一昨年アレンタウンのアンティークショップで見つけた1940年代のアタッシュケース。ハリバートン社がアルミ合金のケースを作り始めたのが1938年だからかなり初期の製品だと思う。 店のオーナーは「ペンシルバニア州のメルセデスディーラーのスタッフが使っていたものだ。」と言っていた。僕はこんな話にめっぽう弱い。即決で購入してしまった。 ![]() 僕はこのアタッシュをまだ一度も日本で使っていない。 少々照れくさいのと、やっと見つけた本物のハリバートンケースに完全に参ってしまったからだ。 すぐれた製品(product)は使う人を選ぶと思う。僕が人間的にこのハリバートンを使えるようになったら使ってみたい。 当分の間、このケースの定位置は僕の枕元から動きそうにない。 ![]() このブログを始めて今日でちょうど3年目になる。
カウンターは15万を少し越えた。 訪問していただいた皆さんに深く感謝!!本当にありがとう。 ![]() ところで、 今日、10年間はやしていたヒゲを剃った。 気分爽快なハズが、どうも落ち着かない。 鏡を見て唖然・・! 鼻の下が間延びしたように見える。 あごのあたりも白っぽい。 日に焼けていない肌が我ながら気持ち悪い・・・ その内慣れるだろうけど、キツイよなぁ・・(笑) カフェは多く巡っているが、そのカフェで思わぬ出会いに遭遇することがある。
一杯のコーヒーを求めて入ったカフェで、目にしたもの、耳にしたものが思いがけずそのカフェを印象づけることは多い。 カフェには、そんな思いがけない“出会いのどんぐり”がいっぱい詰まっている。 最近、谷町に引っ越したmさんの案内で出かけたカフェは、築60年を越える古い昭和の店舗を改装したカフェであった。 ![]() 店内はワンルームの土間にギャラリーとカフェを併設していて、壁際にはオーナー好みの小物が並べられていた。 テーブルにしろ、椅子にしろ、すべてが小振りで、子供の頃ひと夏を過ごしたおばあちゃんの家を思い出す。 ![]() コーヒーを注文して一息ついていると、ギャラリーで作品を展示している女性から 「唄をうたっていいですか・・?」と声をかけられた。 振り向くと、大きなバックの横にギタレレが立てかけてあった。 ♪ ・・syukurihmu mitaina kumo ♪♪ 古い家屋とギタレレのゆるい響きが何とも心地いい。 それにもまして女性のスローな歌声が、懐かしさを誘う。 とても素敵な時間だった。 彼女はいろんな場所でギタレレをつま弾きながら唄をうたっているのだという。 名刺に書いてあったサイトで、今も彼女の歌声を聞いている。 心にしみ入る歌声に「日音色」の印象がオーバーラップする。 ![]() ●日音色 -hineiro- 大阪市中央区谷町6-13-36 TEL06-6763-1114 open:13:00~19:00 close:水・木 ![]() 昨年のラストカフェは福島の喫茶stoveだったと思う。
気がつけば、今年のラストカフェも喫茶stoveだった。 不思議なものである。 我ながら自身の思考と行動の範囲なんてたかがしれていると思った。 今年は忙しい一年だった。 ブログの更新に気持ちがいかない日々がつづく。 そんな中、今年一番通ったカフェといえば、“Mole hosoi coffee”だったと思う。 ![]() so cool・・・ 古いビルとコーヒーに対するストイックな姿勢がとにかくカッコいい。 ほのかな灯りに導かれて地下に降りていくと、バーのようなエントランスからオーナー細井さんの姿が見える。 元々金庫だった場所を改装したらしいが、想像するよりずっと入りやすい。 ゆるやかにカーブした壁面と長いカウンターが絶妙に調和している。 コーヒーを淹れるためのシンプルな器具。ジャズプレーヤーの写真と一輪のばら。 思考が一時停止し、少しすると想像力が高まってくる。 「森彦」と「kajita」の豆を使った2種類のブレンドコーヒーうち、僕のお気に入りは、mole special ブレンド。 苦みの中にまろやかさがあって、深い思考に染み入るような味わいだと思う。 ![]() 静かな店内にnorah jonesの『feel like home』が流れる。 コーヒーをもう一杯・・ ![]() ● Mole hosoi coffee 大阪市中央区伏見町3-3-3 芝川ビルB1F TEL 06-6232-3616 open:10:00-20:00 close: 月曜日、祝日 ![]() 「あっという間になくなってしまうキケンなおやつです♪」
と、東京の喫茶店にやたら詳しいライター兼フォトグラファーのmさんが送ってくれた、その名も“東京名物”『ゼイタク豆』。 包装をといてその魅力的なネーミングに驚いた。右肩に書かれた“登録商標”というロゴも誇らしい。 ![]() 早速いっしょに送ってもらったコーヒーをドリップして、一粒食べたらこれが美味い!! サクッとした歯ざわりに落花生の風味が絶妙に絡んでくる。 ころんとした形もかわいいし、まさに東京名物にふさわしい逸品だと思った。 東京人の彼女も「最近まで知りませんでした。」と言っていたが、豪華なスイーツよりダンゼン気が利いている。 よく見ると表面に少量の焼塩がまぶしてあり、これが“味わい”と“止められない感”を高めていると思う。 ![]() コーヒーに合う“おやつ”は数あれど、こんな逸品があるとは知らなかった。 さすがはお江戸のお菓子屋さん。庶民の“ゼイタク”ってえのをよくわかってらっしゃる(笑) ![]() 今回、金沢に連れて行ったカメラは、ローライの古い2眼レフ。 プロの写真家の間でも 『旅に一台だけカメラを持っていくとしたら“ローライフレックス”』・・みたいに称されるカメラである。 街歩きでローライを持っていると年配の男性に声をかけられることがある。 「私もむかし使っていました。」 最近では、写真好きのカフェ・ガールに声を掛けられる。 「カワイイカメラデスネ。ワタシモホシインデス。」 実際、コラボンでも、ゴーシュでも「ステキなカメラですね。」と声をかけられた。 自分がほめられている訳ではないが、何となくうれしい気分になる。 コミュニケーションツールとしてローライに勝るものはないと思う。 「あなたを撮っていいですか??」 ぼくはローライがこんな風に語りかけているのではないかと密かに思っている。 大好きな金沢と”会話するカメラ”。 旅の楽しさは案外こんなところにあるのかもしれない。 金沢プチ“家出”の最後をしめるのは、純喫茶ローレンス。
五木寛之さんのファンならずとも、気になる喫茶店である。 片町界隈は古くからの繁華街で、真新しいビルの間に、古くすすけたような雑居ビルが点在する。 ローレンスは大通りから少し入った古いビルの3階にあった。 地図は用意していたが、あっけなく見つかったので何だか肩すかしにあったような気がした。近づくと、かの五木寛之さんが通っていたというオーラのようなものを感じた。 ![]() 薄暗く、廃墟のような階段を上がると、中世ヨーロッパ風のデザインをあしらった看板が見えた。 決して華美なものではなく、オーナーの主張を感じる意匠である。 建付けのゆるいドアを開けると、もう何年も客が途絶えたアンティークショップのような、流れのない空気に包まれた。 ![]() 光が差し込む窓際に若いカップルの姿が見えた。“喫茶探偵”を自負する自分としても、この雰囲気を瞬時に理解するのは難しい。 しかたなく、一段高い薄暗い壁際の席についた。 店内を眺めながらおろおろしていると、髪の長い年齢不詳の女性がこちらに視線を送ってきた。 「あなたの座った席は、五木先生がずっと座っておられた席よ。そこはね、イマジネーションがどんどんわいてくるの。五木先生のようにね・・。あなたもどんどんイマジネーションがわいてくるわよ・・・」 僕があっけにとられていると、 「ご注文は・・?」「うちにはメニューはないのよ・・。あるけど、出来ない物は出来ないし・・・」 と、こちらを見透かしたようなはきはきした声が聞こえた。 少し考えて「あ・・あッ、コーヒーを下さい・・・」と答えた。 その間、5秒もなかったと思うが、ぼくには5分も考えたような気がした。 「コーヒーならあるわよ。じゃ、いれるわね。」 活性化した“ドーパミン”がシナプスを巡る。しかし、これが純喫茶ローレンスの“しきたり”なのだろう。 ![]() 少しすると、30代前半と思しき男性が入ってきた。 この店の“魔女”と親しいらしく、厨房越しに古い映画を話で盛り上がっていた。 ぼくはその話に耳を傾けた。 映画の描写と実体験による感想がまさに小説の世界なのだ。すばらしく文学的な会話に感心した。 確かに、イマジネーションがどんどん沸いてくる。 ![]() 自分が小説家になったような気がした。 ローレンスでの“ぼくの時間”が、大学時代、京都の古い喫茶店に通っていた頃にどんどんフェードしていくのがうれしかった。 中学生の頃につきあっていた女の子のことまで頭をよぎってびっくりした。 金沢に来て、いろいろな体験をした。 歩き疲れた体に、スピリチュアルな記憶が満ちてきた。 ●純喫茶ローレンス 石川県金沢市片町2-8-18 TEL 076-231-1007 open:13:00~21:00 close:不定休 ![]() ![]() コラボンでコメントいただいたCuuさんが来週金沢に行かれるとのなので、金沢のおすすめカフェ情報をアップします。期間限定です!(笑)
まずは、前述のコラボン。 建築に興味がおありなら、コラボンからすぐの商店街の外れにある「こすもす」さんまで足を伸ばしてみてください。古い薬局を改装した素敵な花屋さんです。 ●花のアトリエ こすもす 金沢市安江町5-14 TEL 076-222-8720 http://ilya-slow.jugem.jp/?eid=290 ●あうん堂 金沢市東山3-11-8 TEL076-251-7335 http://www.aun-do.info/index.htm 金沢のカフェファンには有名な浅野川大橋近くの「あうん堂」。スタイリッシュな建物と古本が和みます。二三味珈琲さんのコーヒーがいただけます。 ●よふ葉(ようよう) 金沢市本多町1-6-12 TEL076-263-3114 http://www.yo-yo2002.com/ 住宅地にある隠れ家度★★★のバー。昭和の民家を改装したイチオシのお店です。 それと今回の金沢で一番ときめいたのが新竪町商店街。 かつて「骨董通り」と呼ばれていたレトロな商店街に、若いオーナーが発信する素敵なお店が散歩心をそそります。 古い魚屋さんやパーマ屋さん、お医者さんに混じって、おしゃれなアンティークショップや雑貨屋さんが点在していて絶対楽しめますよ! ![]() ●ギャルリ・ノワイヨ http://po4.nsk.ne.jp/~noyau/ ![]() ガラス障子が昭和レトロな店内でコーヒーがいただけます。お店も、cool!・・絵になります。 ●benlly's & job http://www.benllys.com/index.html ![]() 以前からwebで利用させてもらっています。ここのオリジナル雑貨が素敵なのですよ・・ ●パーラー KOFUKU ![]() 4月に出来た新しいカフェですが、古い喫茶店を改装した外観が通りになじんでいます。 ![]() ≫Cuuさんへ 金沢はとっても素敵なところです。楽しんできてくださいね。 Cuuさんの金沢レポを楽しみにしています!(笑)
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