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ときどき・はちはち
京都好きの友達を案内するカフェとして、いろいろ考えた末、ひらめいたのが西陣にあるはちはちインフィニティである。名前からしてイマドキ系のカフェっぽい感じもするが、コンセプトはまったく正反対で、ぼく自身いまだに、この名前の意味がよくわからない。ただ、京都好きを驚かすには格好のエトランゼ・カフェであることは間違いない。

ときどき・はちはち_e0113246_2354643.jpg


いつものように記憶を頼りにたどりついた“はちはち”は以前にも増して隠れ家のオーラを放っていた。廃墟めいた一軒家の前に立つと、入りづらい、訪れた人を拒絶するような雰囲気がある。
友達の不安と期待に満ちた視線を受けて、格子戸をあけて中にはいると、客はなく、早速座敷へと滑り込んだ。照明は薄暗く、ミニマムな日本家屋の設えがとてもいい感じである。

静けさの中で声をひそめてじっとしていると、ここがカフェであることを忘れそうになる。タイミングを見計らって厨房でパンの仕込をしているマスターに声をかけ、コーヒーをオーダーした。しばらくするとスライスした田舎パンといっしょにオーガニック・コーヒーが運ばれてきた。

コーヒーは本格的なドリップではなさそうであるが、なかなか美味しい一杯である。添えられたパンもほのかに天然酵母の匂いがして独特の歯ごたえが美味しかった。

この場所の雰囲気になじんだ頃、一人の外国人男性が入ってきた。柔和な笑顔の紳士に思わず、「こちらへ座られませんか。」と声をかけた。男性は長い間京都に住んでおられたようで、その知的で流暢な日本語での受け答えにとても楽しい時間をすごすことができた。

時間もそろそろなので、マスターにお金を払い、帰り際、コーヒーが美味しかったことを告げた。
するとマスターは「みなさん、美味しかったといわれますけれど、コーヒーもパンも普通です。キャンプで食べるカレーが美味しいのと同じですよ。雰囲気でしょ...」と全くつれない返事。なんとも不思議なマスターである。でも決して嫌味な感じがしない。もしかしたら、マスターはこの西陣の真ん中で仙人のように悟りを開いたのかもしれないなどと想像してしまう。

こんなに友達をびっくりさせられるカフェは他にないと思う。興味がある人はぜひ、西陣でエトランゼ気分を味わってほしい。

PS.
2年前に初めて行ったときのオリジナルレポはこちらで。
http://www.paw.hi-ho.ne.jp/browns_cafe/kyoto32.htm
by browns_cafe | 2007-02-02 23:10 | カフェ/喫茶店
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  管理人ちゃありぃ

by browns_cafe
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