CAFÉ CUBIC POINT
阿倍野橋から路面電車で15分。帝塚山は関西でも有数のお屋敷街である。 姫松から帝塚山三丁目にかけては、洋菓子のポアールや和菓子の福壽堂秀信、輸入自動車のウジタオートなどの地元に密着した老舗のショップが、路面電車が走る広い通りに店を構えている。 バブル以降、賃貸アパートやイタリアンの店が出来たが、それもいつの間にか姿を消してしまった。お屋敷街には急速な変化を拒絶するような、お屋敷街独特のゆっくりとした時間の流れがあるに違いない。 POINTは、そんなお屋敷町で、長い時間をかけて街の風景としてしっかりと溶け込んでいた。 喫茶店としてのPOINTがすごいと感じるのは、今でも全く色あせていないところである。開業は70年代の終わり頃。雑誌ポパイが創刊された時代である。時代がカッコイイを求め、ライフスタイルといった言葉が使われ始めた頃だと思う。 蔵の壁面に大きく「CAFÉ CUBIC POINT」とペイントされた外観は通りから目立つ存在であるが、決して安っぽいものではない。むしろ存在を主張する70’sのプロダクトデザインのように見える。店名につけられた“cubic”も“箱”という蔵の存在をイメージしたものではないかと思っている。 狭い階段をあがって、店に一歩はいると、絶妙の音量で流れるジャズが聞こえてくる。高い天井と黒く太い梁。まさに“日本の箱”にアメリカの文化が融合したような空間である。 何百枚もありそうな紙ジャケットのLPレコード、ヴィンテージ Macintoshのアンプ、ブルーネットのALTECスピーカーもマニアには垂涎の代物に違いない。 ここに初めて来て以来もう何年も経つが、パームツリーがドラマチックな“weather report”のポスターや“VSOP quartetto”、ドア近くのパット・メセニーのポスターなども全然変わっていなくて、濃厚なNYのジャズ・シーンの陰影が今も息づいている。 入り口横のテーブルに着くと、竹の仕切り壁に貼ってある「ココニモタレナイデクダサイ」という注意書きが目に入った。beetleから人が転げ落ちるイラストはこの店に初めて来たときから気になっているもので、注意書きそのものがアートな雰囲気にあふれている。 いつ来ても“色あせない喫茶店”は、ぼくにとって大事な存在である。 70年代にカッコイイを“日本の箱”に表現したこの店のオーナーは、大阪のお屋敷街に素敵な喫茶文化を残したと思う。ぼくの憧れの喫茶店はいつの時代にも色あせない。 * CAFÉ CUBIC POINT 大阪府大阪市住吉区帝塚山東1-5-24 TEL 06-6671-4288 AM 10:00〜PM 9:00 月曜日休
by browns_cafe
| 2007-09-10 21:46
| カフェ/喫茶店
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