喫茶 みりあむ
“みりあむ”という素敵な響きの店名は、マスタアが愛する奥様の名前なのだそうだ。
場所は奈良市高畑町。奈良市の南部から市街地に入る交通量の多い幹線道路沿いにある。ややもすれば見過ごしてしまいそうな軒の低い小さな建物が喫茶店になっていた。 開店したのは今から20年ほど前で、古美術が好きで度々奈良を訪れていたマスタアが、いつしか奈良に住み着いたのがきっかけらしい。 僕に到底ありえない話ではあるが、誰もが一度は夢見る憧れのストーリーに違いない。 この線でいけば、美しいフランス人妻のミリアムさんとの出会いも相当ドラマチックであることは容易に想像できるが、ごくフツーの生活を送っている僕にとってはあまりに刺激がキツそうなので、想像の範囲でとどめておくのが良さそうである。 入り口が交通量の多い車道沿いにあること、「珈琲・カレー みりあむ」と書かれた暖簾をくぐると「坂本」という表札が見えることなど、一見妙な感じなのだが、木製のドアを開けると一気に気分は高まってくる。 壁や天井は板貼りになっていて、長い時間の中で飴色に焼けてなんとも美しい。前が幹線道路とは思えない静けさと落ち着きである。 使い込まれたテーブルやYAMAHAのスピーカー、書棚に並ぶ音楽関係の雑誌や図録など、僕が思い描く昭和喫茶のイメージが時間を止めたように漂っている。 天井から吊り下げられた照明器具は、マスタアが古道具屋で見つけた物を参考に、別立てで造ってもらったものだそうだ。洋風のデザインにも見えるが、町家や酒屋の土間などに用いられていた釣り行燈(つりあんどん)の一つではないかと思う。このあたりのセンスが、昭和喫茶好きにはたまらない。 メニューは名物のカレーとハンガリー風のシチューライスをメインに、クロックムッシュやフレンチトーストなど、どれもすごく美味しい。コーヒーは近くにある焙煎工房『凡豆』の豆を使っていて、ちょっと深入りの苦味のきいた美味しい一杯である。 もう一つのオススメは、ミリアムさん手作りのケーキやクッキー。美味しいと噂のガトーショコラやアプリコットケーキは未体験だけれど、ガラス容器に入れられたクッキーはどれも可愛くてコーヒーのお供には是非注文したいこの店ならではおやつだと思う。 奈良を愛し、手作りのカレーやクッキーで来訪者をもてなす“みりあむ”にぼくは感動している。マスタアの坂本さんは控え目でとても良い人である。声楽を志し、美しいミリアムさんと古都奈良で暮らすなんて僕には到底まねのできる人生ではないが、もしも自分がカフェをするなら、是非こんなもてなしを実現してみたいと真剣に考えてしまった。 ドラマやね。 奈良で隠れ家が欲しい人はぜひ... 愛情に触れたい人もぜひ... とってもいい店です。 ●喫茶 みりあむ 奈良市高畑町840 TEL0742-23-3428 open 11:00~20:00 (土曜日祝日は18:00まで) close日曜日
by browns_cafe
| 2008-09-20 20:23
| カフェ/喫茶店
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