モトマチ喫茶
神戸元町と言えば、日本で初めてコーヒーの店頭売りが始まった街なのだそうだ。 そんなコーヒーの街「モトマチ」を店名に冠した喫茶店が、セレクトショップの点在するトアウエストの外れにある。 レンガをあしらった昭和の佇まいは、少し前ならどこの街にも一つはあった喫茶店の風景なのだけれど、この日訪れた「モトマチ喫茶」は少々違っていた。 ガラスに貼られた「モトマチ喫茶」の切り文字がほんのりポップで、昭和喫茶としての渋さだけではない、初々しさが漂っていた。 ドアを開けると、カウンターの奥にマスターの姿が見えた。 とても感じのよいマスターで、一気に気持ちが柔らいだ。 店内には近所のショップ店員と思しき若い女性が一人。 ぼくはこの女性の長い髪と向き合うように窓際の席についた。 カウンターのマスターに小さな声で「・・ブレンドコーヒーを願いします。」と告げた。 店内の設えを見渡して、以前、昭和喫茶を巡っていたときの事を思い出す。 あの頃はどきどきして、頭がくらくらしたが、モトマチ喫茶はどこか“もてなし”がゆるやかでとても居心地がいい。 カウンターでは、ぼくの注文したコーヒーがドリップされていた。 丁寧な作業には全く無駄がない。コーヒーを淹れる所作というものはいつ見てもカッコイイ。 “なんだかんだ言っても、喫茶店はこうじゃなくっちゃ・・”、と日々感じているのだけれど、この当たり前が今では貴重なのかも知れない。 コーヒーが運ばれてきた。 琥珀色にほんのりした赤みのグラデーションが美しいコーヒーには、小さなコロンが一つ添えられていた。その昭和のおやつが、古いノリタケのカップによく似合う。 コーヒーは、苦みが立つ豆が使われていた。 マスターに聞いてみたら、GREENS coffee Rosterの豆を使っているとのことだった。 狭い店内なのだけれど、窓から差し込む光で“いろいろな場面”が見え隠れする。 緑色のシート、細工の入った木製の仕切り、テーブルに置かれシュガーポットと・・どれを見ても、愛おしいさが伝わってくる。 「小さな目立たない店ですが、常連で来て下さる作家の方々がいろいろ多方面にご紹介いただいてるみたいで・・・」 と口コミでこの店の評判が広がっているのだそうだ。 ジャズが流れるレトロな昭和喫茶は、やはり他では味わえない、オンリーワンの魅力がある。 ファストカフェ全盛の今、ちょっと一人になれる居心地のいい喫茶店が元町にはある。 ●モトマチ喫茶 神戸市中央区北長狭通3-9-7 TEL078-778-0727 open:12:00-21:30 close:月曜日
by browns_cafe
| 2010-10-03 13:42
| カフェ/喫茶店
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