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大阪名品喫茶 大大阪
大大阪”という言葉が大阪の歴史に存在したことを知ったのは今から10年ほど前のことです。大阪の繁栄華やかなりし大正時代の末期に、大阪市の人口が東京市(当時)の人口を抜いて全国一になったことを表して“大大阪”と呼ぶようになったそうです。天王寺の再開発を“新世界”と呼び、日本一の大阪を“大大阪”と呼ぶ、負けず嫌いを象徴するような大阪人の意気込みが伝わってきます。

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そんな大阪人の心意気を受け継ぐ「大阪名品喫茶 大大阪」という喫茶室が、中之島のダイビルに開設されています。
ダイビルはすでに平成20年に解体されることが決まっています。喫茶店の開設者であり建築家の中谷さんによると、このダイビルに憧れ、『平成の大大阪』の創造と情報の発信を目的に、期限付きでこの喫茶室をオープンされたのだそうです。

ダイビルは今年で築80年を迎えます。設計はかの渡辺節さん。昭和の国宝といわれる綿業会館の設計で知られる名建築家で、ダイビルでも外壁のスクラッチタイルや玄関アーチのテラコッタ、女神像の装飾などに独特の意匠が活かされています。一見、地味なように見えますが、当時の大阪の繁栄の中で、商業ビルとしての合理性を追求したような素晴らしい建築だと思います。
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玄関を入ると、吹き抜けの豪華で美しい照明が目に入ります。とても80年前の設計とは思えないエレガントな光の放射がエントランスを照らしていました。左右に延びる通路部分は拍子抜けするほどシンプルですが、漂う空気感は確かに近代建築そのものでした。東京の三信ビルのように、商業スペー^スとして公開されていないので、初めての場合少々緊張する場面です。

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通路を少し歩くと、通路側にギャラリーを備えた大大阪のブースはすぐに見つかりました。
ドアを開けて中に入ると、天井は高く、黒いタイルと白い壁で統一された壁面がストイックで、とてもモダンな印象です。壁に貼られた古い写真を眺めていると、ニューヨークあたりの古いビルに迷いこんだような不思議さも感じます。
照明器具やテーブルなどの調度品は、どれも吟味されていて、旧きよき大阪にこだわるーナーの“新しくて旧い”センスが何とも心地よい演出に思えてきます。

奥の席に座ると、黒表紙で綴られたメニューを渡されました。コーヒーにもこだわっていて「大大阪珈琲」と「マイルド・ブレンド」の2種類が用意されていました。

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小さなチョコレートが添えられてでてきたコーヒーはほのかな苦味のやさしい味のコーヒーでした。小音量のジャズに耳を澄まし、空調のボォーという音を耳に含むと、このビルの静寂さが際立ってくるのがわかります。

大大阪はダイビルという近代化遺産の中でコーヒーを飲みながら一息つける最高のスペースに違いありません。この建物が後2年で解体されることを思い出さなければの話ですが...

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大阪名品喫茶 大大阪
大阪市北区区中之島3-6-32 ダイビル1F
TEL 06-6444-8870
9:30~18:00 日・祝日休
by browns_cafe | 2007-06-16 17:58 | カフェ/喫茶店
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