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Prangipani フランジパニ
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“一見無駄と思えることを楽しむ...”そんな感覚が日本の町家にはあるように思います。
ぼくが生まれた家もそんな昭和の建物でした。
通りニワという土間が家の中にあり、洗面所に行くのにもいちいち靴をはかなくてはなりません。間仕切りは、襖と障子。トイレに至っては縁側を越えて狭い廊下の奥にありました。今の感覚でいうと、なんと無駄の多い空間ということでしょうか?しかしよく見ると、精緻に組み込まれた長欄間や吹き寄せの障子、板戸に張られた杉板など、どれも日本ならではの美しさに溢れていました。“無駄の多い空間”とは、実は、機能+アルファの今より遥かに豊かで、奥深い空間であったことを、今ごろになって追体験しているように思えてなりません。


烏丸通りを北に上がると、同志社大学のある今出川通りに当たります。その一本北側を走る鞍馬口通り沿いに『 Prangipani 』はありました。

表は全面ガラス張りでイマドキの美容室のように見えますが、大きなドアを開けて中に入るとその印象は一転します。正面に見える美しい座敷は、かつてぼくの暮らした日本の家そのものでした。
広いガラスに面したミセ部分には、観葉植物とスチール製の脚部がモダンなテーブルセットが置かれ、メインのカフェスペースになっています。オクミセの厨房では、この店のオーナーらしき女性が手際よくサンドイッチを作っているのが見えました。

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ぼくが店内をキョロキョロしていたのが目に付いたのか、オーナーから「どうぞどうぞ、よかったら奥へ上がってくださいね。」と声をかけられました。
初めてのカフェで挙動不振なのはいつものことなのですが、とっさに声をかけられて、少々焦ってしまいました。こちらの手の内が見過ごされたような気がして、とっても恥ずかしかったです。

もうよろしいですか・・・?と言わんばかりのオーナーの視線を感じながら、気を取り戻して、メニューからブレンド・コーヒーを注文しました。
ここはコーヒーにもこだわっておられるようで、注文があるたびに豆を挽いて、一杯一杯サイフォンで抽出されます。艶のあるコーヒーはグアテマラベースのブレンドで、苦味の強い今流行の味でした。

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静かな町家の中で、ゆるいジャズに浸るとなんと心地いいことか。
遅い午後の時間を感じさせるように、少しずつ日差しが翳ってくるにつれ、土間に溶け込む影の帯が美しいグラデーションの層を重ねて行きます。

“一見無駄と思えることを楽しむ...”そんな感覚がこのカフェにはあると思います。
いいですね、ネオ町家カフェ。ぼくの中の「和めるカフェ」のイメージなのかもしれません。

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ps.Prangipaniは、プルメリアのこと。なお、この記事はナナキさんへのdedicateです。(笑)


 京都市上京区室町通鞍馬口下ル森之木町462
 075-411-2245
 日曜日休 10:00~19:00
by browns_cafe | 2007-07-02 20:50 | カフェ/喫茶店
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