蕎麦 やまなか
大阪南のターミナル、天王寺から地下鉄で一駅。阿倍野区昭和町はその名のとおり昭和の風情を色濃く残す街である。
近年、築50年を過ぎた建物を対象に国の登録文化財制度が始まり、この昭和町の長屋建築が全国でも初めてその指定を受けた。指定を機に長屋は全面改修され、和風の雰囲気を活かしたレストランが数件入居する人気のエリアとして賑わっている。 「蕎麦 やまなか」は、その一角に隣接する邸宅内の蔵を改装した蕎麦処である。 あびこ筋を西に入ると、路地裏風に石畳が整備されていて、なかなかの雰囲気。妻入りの蔵に暖簾を掲げた「やまなか」はすぐに見つかった。 表に立て掛けられた「十割蕎麦」の看板を確認して、ガラス戸から中を覗くとちょっとした小料理屋のように見える。中に入ると、右手に厨房があり、向かい合うように5人ほどが掛けられるカウンター席が見えた。 昼時であったが幸い席が一つ空いていたので、早速その場所に滑り込んだ。メニューを見ると、蕎麦をメインに惣菜を一緒に食べるというスタイルになっていた。周りの棚には地酒がずらりと並んでいるので、夜は地酒と和風料理の店として営業されているようである。 お昼にはランチセットというのが用意されていて、3品ほどのおかずと丸いおにぎりのお盆に、ハーフサイズの盛り蕎麦が付いてくる。これで850円。蕎麦を大盛りにすると+300円、デザート+150円と方式になっている。盛り蕎麦の単品や鴨汁の定番メニューもあるが、このランチセットは何とも魅力的。 この日は、揚げ出し豆腐、豆と白身魚の煮物、和風サラダ、佃煮と五穀米のおにぎりがセットになっていた。味や食感もよく黒いお盆に色とりどりの小鉢が見た目も美しい。 蕎麦は頃合いを見計らって茹で揚げられる。厨房とカウンターは1mほどしか離れていないので、蕎麦の茹で上がりや湯切りがライブで見られるのもこの店の特徴かもしれない。蕎麦は、大ぶりの器に盛られ、量的にもボリューム感がある。十割蕎麦ゆえ、歯ごたえがしっかりしていて、濃い目のつけ汁との相性も良かった。ろあんより喉越しがよく、いもせより歯ごたえがあるといった印象。つけ汁は、和風料理の影響か、ほのかに甘みがあって鰹以外の旨味が加えてあるような気がした。 〆の蕎麦湯は、塗りの片口で出てきた。とろとろの濃厚なもので、茹汁ではなく、別に蕎麦湯として用意しているのだとか。わさびを多めに入れた汁に混ぜると、ポタージュスープのような一品料理になる。 食後に少し話をさせていただいたが、店主は気さくな大阪のねえちゃんという感じで、和食への情熱を感じるとても素敵な方である。若い男性の一人客も多く「久しぶり、どうしてんの??」というフレンドリーなノリも蕎麦屋としては新しいタイプなのかもしれない。 “女性が打つ蕎麦”といった紹介がされているようなだが、決してそれだけではない“新鮮な魅力”がこの店にはあると思う。カフェで手料理が出されるようになった頃の、わくわくするような期待を感じる店である。 ● 蕎麦 やまなか 大阪市阿倍野区阪南町1-50-23 TEL 06-6622-8061 11:30-14:30(L.O.14:00) 17:30-21:30(L.O.21:00) 火曜日定休
by browns_cafe
| 2007-09-22 15:22
| 美味しいもの/店
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